7月27日の午後、「一般社団法人みずほの家」理事、山中信彦氏の講演会が開かれました。

演題は「娘がいたから」です。スクリーンの可愛い笑顔のお嬢さんが瑞穂(みずほ)さん、その前で手話歌をなさっているのは奥様の泰子(やすこ)さんです。

大学を卒業されてから全日空に勤務、充実した仕事、あたたかい家庭、ご自分で「何も苦労がなかった」と言われる人生を送られていた山中さんを大きく変えたのは、3番目のお子さん瑞穂さんでした。

詳しい経緯は「みずほの家」のホームページに掲載されている丹波新聞の記事をクリックしてご覧ください。みずほの家

学校で人権教育の一環として子どもたちへのお話を依頼されたとき、山中さんは、白いボールを例えば16個、赤いボールを1個、穴の開いた箱に入れ、17人の子どもたちに1つずつとらせるそうです。

ボールは、その市で障害者の認定を受けている人の割合を表しています。小野市では約19人に1人です。

山中さんは子どもたちに「この子(赤いボールを手にした子)は悪い子ですか?」と尋ねます。

子どもたちは首を横に振ります。「それじゃあ、お父さんやお母さんが悪いことをしたのですか? おじいさんやおばあさんが悪い人だったのですか? そうじゃないでしょう? たまたま、この子は赤いボールだった。そして、たまたまこの子は白いボールだった」

「たまたま障害がある人と、たまたま障害がない人がいる。たまたま障害がない人が、たまたま障害のある人を助けるのは当たり前」と山中さんは子どもたちに伝えます。

「でもこれは、本当は大人に伝えたい」と山中さんはおっしゃいました。

「みずほの家」のグループホームは耐震仕様の新築です。明るくきれいな一軒家で、グッドデザイン賞も受賞しています。障害者なのに、ぜいたくな・・と言う人は悲しいことにまだいるそうです。

「障害があるゆえに一人でできることが5%でも、あとの95%を福祉や他の人たちが支援すれば100%になる」

「福祉は、優しさだけでは成り立たない。勇気が必要。そしてスピードも大事」

困っている人をほおっておけない山中さんご夫妻の優しさと勇気、そして行動を起こされる速さは、あお教会「アンダンテ」のメンバーも目の当たりしたことがあります。

瑞穂さんが天に召されて1カ月経ったとき、当時旅行業を営んでおられた山中さんに、エルサレム行き(牧師グループの引率)が依頼されたそうです。「神様のご計画だったと思う」と山中さんは語られました。

「みずほの家」は今年、開設10周年を迎えました。毎年、何百もの人たちが「みずほの家」を訪れ、楽しい時間を過ごしています。親御さん方は、家庭的なところに子どもを預けることで、安心して用事や休息ができます。福祉の実践を学びに遠方から見学に来られる方も多いと聞いています。

山中さんご一家と「みずほの家」の上に、これからも神様の祝福が一層豊かに注がれますようにお祈りいたします。

講演会の感想を抜粋してご紹介いたします。

「福祉の基本を学び直しました」

「障害者の弱さを特別視しない愛と勇気をいただきました」

「また前向きになれそうです」

「一粒の麦となられた瑞穂さん。瑞穂さんがおられたからこそ今の山中さんのお働きがあることを心から神様に感謝します」

「毎日をしっかり生きて行こうと改めて思いました」

たいへんお忙しい中、講演を引き受けてくださいました山中さん、また暑い中、お越しくださいました皆様、本当にありがとうございました。

心からお礼を申し上げます。